僕は元々広告業界の人間でしたから、会社勤めという形式で働くのは初めてだったんです。広告業界というところは成果主義みたいなところがあって、制作物の良しあしで全てが決まる世界でした。ルールなんてあったもんじゃないし、もちろん時間感覚もない。ただしプロ意識だけは半端じゃない。締切りを死守することを至上命題とし、良いものを作るためには罵声も怒号も飛び交う世界。そんな業界から入社してきたのだから、周囲の反応といったらある種の異文化交流みたいなものでした。
当時はまだ広告部というものはなくて、立ち上げから参画させていただきました。とにかく広告・宣伝というのはモヤモヤとしている「カタチ」のないものを「カタチ」にしていく、暗黙知を形式知へ落とし込んでいく作業の連続なんだと思います。